ディラン・マッケイとい
う男の子は、最も深刻なものを自らのうちに抱えていたと思う。
幼少のころに両親が離婚し(しかも父母ともに強烈な個性の持ち
主である)、実業家の父親の元で成長するが、父親が汚職で逮捕
され、たった一人で生活しながら、犯罪者の息子という社会的圧
力と、経済的困窮に耐えている。
アルコール中毒歴、薬物中毒歴があるが、今は立ち直っている。
でも、辛い状況になると、また以前のように戻りそうになる欲求
を止めることができない。サーフィンとバイクが好きで、非常に
センシティブでもろく、不安定で破壊的な、しかし誰よりも純粋
な人である。偽善的な大人の世界に染まることを何よりも嫌う。
彼は、主人公の女の子ブレンダと恋をする。ブレンダは対照的に
ごくまともな家庭であまり問題もない女の子なので(だから逆に
「いい子」でなければいけないという抑圧も強いと思うが)、二
人の間には常に理解できない、してもらえない、深い溝がある。
それでも、時間をかけて、二人で溝を少しずつ埋めていく。しか
し、彼女の両親は(特に父親は)、どうしても彼を認めようとし
ない。リベラルであるつもりの両親も、やはり世間と同じよう
に、犯罪者の息子として見ていることに気付き、彼女は家を出
て、彼のところに行く。親が彼を認めてくれるまで帰らない、と
いう彼女だったのだが、常に一緒にいる生活のなかで、彼等の仲
は少しずつ息詰まるものとなっていき、それを打開するために彼
女が夏休みにパリへ行ったことで、結局は破局に向かうことにな
ってしまう。